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70歳を超えて働き続ける日本人たち ― なぜ彼らは“老後破産”を恐れるのか

November 2, 2025

70歳を過ぎても、まだ働かないと生活できない――
この言葉は、いま日本の高齢者の現実を象徴している。

総務省の調査によれば、日本では 65歳以上で働く人の数が過去最多 を更新し続けており、OECD加盟国の中でも突出して高い。定年を迎えても、「第二の人生」ではなく、延長戦としての労働を選ばざるを得ない人が増えているのだ。

なぜ高齢者たちは、老後まで働き続けることを余儀なくされているのか。
その背景には、物価上昇・年金不足・介護費用そして社会構造そのものの変化があった。

年金だけでは暮らせない ― 露わになる生活の厳しさ

一般的に、老後は「年金で生活する」イメージが強い。
しかし実際のところ、年金受給額は平均1415万円前後。
一方で、以下は高齢者の平均的な毎月の支出である。

        住居費:37万円(持ち家でも修繕費が発生)

        食費:34万円

        光熱水費:1.52万円

        医療費:12万円

        雑費:23万円

合計すると 最低でも約1218万円。
単身だと、さらに負担が重くなる。

つまり、年金だけでは赤字になりやすい構造 になっているのが現実だ。

物価上昇の直撃 ― 老後の生活を圧迫するインフレ

近年の日本では食品・生活用品・エネルギー価格が上昇し続けている。
とくに高齢者は収入が固定化されているため、物価上昇の影響を強く受ける。

        食品価格はこの数年で 712% 上昇

        電気代・ガス代は 1030% 上昇

        医療費の自己負担も段階的に増加

定年後に急激な 支出の増加が起きると、年金のみでは到底まかなえない。

その結果、「働かないと生活が成り立たない」という状況に追い込まれる高齢者が増えている。

介護費用という「隠れた負担」

高齢期に避けられない出費として、介護費用 がある。

        デイサービス:月13万円

        介護施設の入居費用:月1020万円

        訪問介護:月数千〜1万円台

        その他(オムツ代・医療費 等)

年金の範囲では支払えず、結果として 働くことを選ぶ 高齢者が少なくない。

また、家族による介護が困難になり、施設入居が必要になった場合、想像以上の費用負担 が生じる。

働き続ける高齢者たち ― それぞれの“理由”

高齢者が働く理由は、決して「お金」だけではない。

● ① 生活のため(最も多い理由)

年金+アルバイトでようやく生活が成り立つケース。
特に単身高齢者はこの割合が高い。

● ② 健康のため

適度な労働は健康維持に役立ち、生きがいを感じられるという声も多い。

● ③ 社会とつながるため

独居高齢者にとって、仕事はコミュニティとの接点でもある。ただし、「働きたいから働く」のではなく、「働かないと生きていけないから働く」という声が圧倒的に多いのも事実だ。

社会に広がる“老後不安” ― 日本人が未来を恐れる理由

高齢者だけでなく、現役世代も同じ不安を抱えている。

        「自分が年金をもらえる頃には制度が持たないのでは」

        「物価だけ上がって給料が上がらない」

        「老後の貯金ができない」

        「介護費用を家計が支えられない」

これらの不安は、将来の消費や投資を控えさせ、結果的に日本経済全体にも影響する。

これからの老後をどう準備するか

今後の日本では、働き続ける老後 が一般的になる可能性が高い。
その中で重要なのは、次の3つだ。

● ① より早い段階での貯蓄計画

2040代のうちから老後資金を考える必要がある。

● ② “健康寿命を伸ばす生活

長く働くには体が資本となる。

● ③ 追加収入源の確保(在宅ワークや副業など)

働き方改革により、以前より多様な働き方ができる時代でもある。

結び:

70歳を超えて働く人が増えるのは、「努力が足りない」からではない。
社会構造の変化、制度の限界、物価上昇――それらが積み重なり、「老後まで働かないと生きていけない社会」ができあがってしまったのだ。これは、誰にとっても明日の自分の姿になり得る問題である。「老後破産」という言葉が他人事ではなくなる前に、いまからできることを考えなければならない。